
Image generated by Adobe Firefly
「最近、AIでホームページを作れるって聞いたんですが、どうなんでしょう?」
お客様からこんな質問をいただくことが増えてきました。確かに、AIツールの進化はめざましいものがあります。テキストを入力するだけでデザインが生成され、コードが書かれ、文章が仕上がる——そんな時代が、現実のものとなりました。そしてそれは、日々確実に精度を上げてきています。
それでも、POSSWEBが「AI丸投げ」の制作をしない理由があります。それは否定でも、頑固さでもありません。1,000件以上の制作を通じて積み重ねてきた経験があるからこその、明確な確信です。
今日は、そんなPOSSWEBとAIの話をしたいと思います。
2023年5月、あの瞬間にすべてが始まった
2023年5月23日。Adobe PhotoshopのベータAI機能「生成塗りつぶし(Generative Fill)」が発表されたその日のことを、鮮明に覚えています。当時、私は大学講師として、Webデザインの授業を担当していました。
それまでのホームページ制作では、画像素材をストックフォトから寄せ集め、Photoshopの機能を駆使して加工・合成するのが当たり前でした。「この場面にこんな素材があれば……」「このクライアントの違ったシチュエーションの画像が欲しい」と思っても、存在しないものは作れない。そんな制約の中で、工夫を重ねながら制作していました。
ところが生成塗りつぶしは、その前提をひっくり返しました。画面の中に「ない要素」を、テキスト指示ひとつで自然に生成できる。そのうち、人物の服だけを変えたり、画像サイズから見切れた風景も付け足せるようになったりと、目覚ましいスピードで、表現の幅が一気に広がっていく——それは本当に衝撃的な経験でもありました。
「AIでものづくりをする時代の足音が、はっきりと聴こえた気がした」
これは大げさな表現ではなく、あの瞬間の正直な気持ちです。
少しずつ気になり始めた「何か」
そんな生成AIとの掛け合いは、どんどんエスカレートしていき、気がつくと、「AI無しでは制作が立ち行かない」という感覚にまで辿り着いていました。そしてAIでの制作活動が当たり前になり、最初に出会った頃の感動が落ち着いてくると、不思議なことが起きました。
AIで生成された画像を見ていると、何か「引っかかるもの」というか、「違和感」を感じるようになってきました。どう表現してよいか言葉選びに迷いますが、「人肌の温もりを感じない」というか、「血が通っていない」というか、そんな成果物に、気持ち悪さを感じてしまい、ときには嫌悪感に近い感情を抱くことさえありました。よくいう「指が6本ある」、というような分かりやすいミスではありません。肌の質感、人物の表情、画面全体のトーン——普通の人がぱっと見ても気にならないような「ほんの小さな何か」です。とはいえ、気にしなければ、気にならない。ほんの些細なことばかりでありました。
でも、クリエイターとして長年画像と向き合ってきた眼には、それが「どこか共通したAIらしさ」として誇張され見えてしまう。一度、そんな箇所が目に留まると、「ここもか?」と次々に粗を探してしまう。やがては、本来のイメージとして受け止める視点から大いに逸脱し、見るものすべてが「AIなのか?そうでないのか?」ばかりに気を取られるようになっていきました。
そして、もうひとつ気づいたことがありました。同じ画像でも、「これはAI生成だ」と分かった瞬間に、感情が冷めてしまうのです。どんなに美しく、どんなにインパクトがあっても、「AIが出した機械的な生成物」という感情が湧いてくるのです。
これが、人間がきちんと手間暇をかけ、試行錯誤しながら仕上げた作品なら、まったく見方が違っていたと思います。
きっとこれは、私がクリエイターだから特に強く感じることかもしれません。でも——もしかするとあなたも、どこかで似た感覚を覚えたことはないでしょうか?
「AIに丸投げするのではない、AIと一緒に作る」というスタンス
この体験が、今のPOSSWEBの制作スタンスをつくりました。
AIを否定しているわけではありません。むしろ、現在もフル活用しています。画像の生成・加工、文章の校正やライティング補助、コーディング、情報整理——制作のあらゆる場面でAIの力を借りています。AIのパフォーマンスによってハイクオリティの素材を受け取り、それをひとつずつ丁寧に制作に反映するというスタンスです。もちろん、クライアント様にもその旨をきちんとお伝えしています。
POSSWEBが現状で考えるAIとの制作は、「AIに指示して終わり」ではありません。
- クライアントの課題や想いを、人がしっかり受け取る↓
- AIと一緒に解決策やアイデアを検討する↓
- AIのハイクオリティなアウトプットを土台にして、人が最高の仕上げをする
AIには「作りたいもの」がありません。「このクライアントの事業を一緒に盛り上げたい」「このクライアントの問題を一緒に解決したい」「このクライアントの想いが詰まったウェブサイトを一緒に作りたい」といった気持ちを持つのは、人間だけです。
だからこそ、その想いを持った人間が指揮者でなければならないと思っています。AIはその想いを実現するための、頼もしいパートナーです。
「ポン出し=解決」は、現状では100%あり得ない
POSSWEB株式会社では、これまで1,000件以上のホームページ制作に携わってきました。
その経験から確信していることがあります。クライアントが変わり、事業が変わるたびに、必ずそこに専用のオリジナリティが必要になる、ということです。
業種も、ターゲットも、代表の人柄も、届けたいメッセージも——すべてが違う。「この業種ならこのデザイン」「このジャンルならこのコピー」という正解はありません。
AIに要件を入力すれば、それらしいアウトプットはすぐに出てきます。でも「それらしいもの」と「そのクライアントにとって最高のもの」は、まったく別物です。
「ポン出し=解決ではない」——これはAIを否定しているのではなく、制作というものの本質について言っています。
AIはたしかに便利で、強力です。でも今日時点では、まだ万能の神ではありません。AIの特性を正しく引き出しながら、丁寧にものづくりをすることの大切さは、当面変わらないでしょう。そのことを、これまでの制作経験が教えてくれました。
2026年、すべての人が「過渡期」の中にいる
AIに関する情報は、毎日のように飛び交っており、日々ニュースが生まれています。
中には「デザイナーはもう不要」「システムエンジニアの仕事はAIに奪われる」といった極論を、センセーショナルに発信する人たちもいます。そういう「AI驚き屋」とでも呼ぶべき人たちの声は、どうしても目立ちますし、そうした発信に気持ちを引っ張られてしまう人も多いのだと思います。
しかし、実態はどうでしょう。デザイナーもエンジニアの仕事は、今でもしっかりとニーズがあります。
ただ、求められ方が変わってきていることは否めません。AIを理解した上で、新しい作業フローに対応できること——それが今、プロとして継続するための必須条件になりつつあります。AI導入によって生まれる新たなコストや課題も、無視できません。それらを受け止め、AIを駆使した最高のパフォーマンスを生み出す。そんなフェーズが訪れました。
そして、誰もが日々模索していて、決定的な落としどころは見つかっていないのではないでしょうか。たとえ、「これが答えだ!」という発信を目にしてもすぐさま鵜呑みにせずに、自ら手を動かしながらチャレンジし、前に進むしかありません。
何しろ、今日の常識が明日にも上書きされる可能性がある時代です。2026年の今は、間違いなく過渡期。激動の年の真っ只中に私たちはいます。
POSSWEBも、日々試行錯誤しながら、AIと向き合っています。
最後に、断言できないけれど一つだけ言えること
AIについて、「これが正解」と断言できる人は、正直誰もいないと思っています。
それでも、一つだけ言えることがあります。
「誰かの想いを形にする」という仕事の本質は、AIが変えるものではない。
クライアントと話すとき、「この課題を一緒に解決したい」「こんなウェブサイトを一緒に作りたい」と感じる気持ち。その気持ちが制作の原動力であり続ける限り、AIは脅威ではなくパートナーです。
ホームページ制作を考えているあなたへ。「AIに丸投げすれば安くていいものができるはず」と思っているなら、一度立ち止まって考えてみませんか。
あなたの事業の課題、届けたい想い、ターゲットのこと——それを一緒に整理して、最高のWebサイトを考える。それは、今のPOSSWEBが最も大切にしている制作の「軸」です。
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